後藤明生『小説は何処から来たか【21st Century Edition】』
解説:巻末解説:樫原辰郎(映画監督・評論家)
◉発売日:2020年1月24日
◉ブックデザイン:ミルキィ・イソベ(ステュディオ・パラボリカ)
◉造本:A5判・上製・336頁
◉ISBN978-4-908624-08-7 C0093
◉定価:本体3,600+税
◉お求めは【版元ドットコム】のHPより
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784908624087
「なぜ小説を書くのか? それは小説を読んだからだ」
独自の小説論を提唱し実践してきた小説家・後藤明生が
これまでに発表した原稿を自らREMIXして
日本近代文学史の書き直しに挑んだ小説論の集大成
小説の未来は小説の過去にある
「なぜ小説を書くのか? それは小説を読んだからだ」――。独自の小説論を提唱し実践してきた小説家・後藤明生が、過去に発表した原稿を自らの手で「REMIX=再編集」し、日本近代文学史の書き直しに挑んだ小説論の集大成。二葉亭四迷→日本文学とロシア文学→夏目漱石→芥川龍之介→永井荷風→宇野浩二→牧野信一→横光利一→太宰治→花田清輝→武田泰淳→鮎川信夫→丸谷才一→古井由吉……。巻末には著者が自ら編纂した「世界小説年表」を掲載。小説の未来は小説の過去にある!?
【もくじ】
プロローグ――柄谷行人の『日本近代文学の起源』と『反小説論』
第1章❖日本近代小説の夢と現実――二葉亭四迷
第2章❖喜劇としての近代――日本文学とロシア文学
第3章❖二十世紀小説としての新しさ――夏目漱石
第4章❖方法としてのテキスト――芥川龍之介
第5章❖「生理学」の方法――永井荷風
第6章❖「都市小説」の構造――宇野浩二と永井荷風
第7章❖夢のプログラム――宇野浩二と牧野信一
第8章❖自意識の喜劇――横光利一
第9章❖反復と引用のエクリチュール――太宰治
第10章❖超ジャンルと楕円Ⅰ――花田清輝
第11章❖超ジャンルと楕円Ⅱ――武田泰淳
第12章❖文体的思考――鮎川信夫
第13章❖フィクションの変奏――丸谷才一
第14章❖「戦中少年」の体験と方法――古井由吉
第15章❖ジャンルと形式の起源Ⅰ
第16章❖ジャンルと形式の起源Ⅱ
世界小説年表
あとがき
新版解説❖樫原辰郎(映画監督・評論家)
【まえがき】
小説は何処へ行くか、と問われるときは、小説の危機か衰弱か、相場は大体決まっている。そしてその問いは、小説は何処から来たか、という問いとほぼ同じである。衰弱した小説とは、小説は何処から来たか、というジャンルとしての自己反省を忘れた小説だからである。また、混血=分裂による超ジャンル性、すなわち「いかがわしさ」の自意識を忘れた小説だからである。つまり、小説の未来は小説の過去にある。「われわれは皆ゴーゴリの『外套』から出て来た」とドストエフスキーはいった。衰弱した小説は『外套』を持たぬ小説である。――(本書「プロローグ」より)
◉後藤明生|ごとう・めいせい(1932年4月4日―1999年8月2日)
「内向の世代」の作家として知られる後藤明生は、1932年4月4日、朝鮮咸鏡南道永興郡(現在の北朝鮮)に生まれる。13歳で敗戦を迎え、「38度線」を歩いて超えて、福岡県朝倉郡甘木町(現在の朝倉市)に引揚げるが、その間に父と祖母を失う。当時の体験は小説『夢かたり』などに詳しい。旧制福岡県立朝倉中学校に転入後(48年に学制改革で朝倉高等学校に)、硬式野球に熱中するも、海外文学から戦後日本文学までを濫読し「文学」に目覚める。高校卒業後、東京外国語大学ロシア語科を受験するも不合格。浪人時代は『外套』『鼻』などを耽読し「ゴーゴリ病」に罹った。53年、早稲田大学第二文学部ロシア文学科に入学。55年、小説「赤と黒の記憶」が第4回・全国学生小説コンクール入選作として「文藝」11月号に掲載。五七年、福岡の兄の家に居候しながら図書館で『ドストエフスキー全集』などを読み漁る。58年、学生時代の先輩の紹介で博報堂に入社。自信作だった「ドストエフスキーではありません。トリスウィスキーです」というコピーは没に。59年、平凡出版(現在のマガジンハウス)に転職。62年3月、小説「関係」が第1回・文藝賞・中短篇部門佳作として「文藝」復刊号に掲載。67年、小説「人間の病気」が芥川賞候補となり、その後も「S温泉からの報告」「私的生活」「笑い地獄」が同賞の候補となるが、いずれも受賞を逃す。68年3月、平凡出版を退社し執筆活動に専念。73年に書き下ろした長編小説『挾み撃ち』が柄谷行人や蓮實重彥らに高く評価され注目を集める。89年より近畿大学文芸学部の教授(のちに学部長)として後進の指導にあたる。99年8月2日、肺癌のため逝去。享年67。小説の実作者でありながら理論家でもあり、「なぜ小説を書くのか? それは小説を読んだからだ」という理念に基づいた、「読むこと」と「書くこと」は千円札の裏表のように表裏一体であるという「千円札文学論」などを提唱。また、ヘビースモーカーかつ酒豪としても知られ、新宿の文壇バー「風花」の最長滞在記録保持者(一説によると48時間以上)ともいわれ、現在も「後藤明生」の名が記されたウイスキーのボトルがキープされている。
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